長い間、キキョウの花は雄花と雌花が有ると思っていました。実は雄性先熟と言って雌しべより先に雄しべが成熟します。花が開いたばかりのころは柱頭は未成熟で、その周りを雄しべが取り囲んでいます(写真左)。開花の後、雄しべは[*葯]を開き花粉を出します。花粉は花柱の周りに生えた毛につきます。花粉がなくなると雄しべは倒れ、花柱から離れます。この頃雌しべは未だ成熟していないため、自家受粉は行われません。葯が空になり、雄しべが花柱から離れると柱頭が5片の錨状に開きます(写真右)。既に雄しべには花粉がないので受粉は別の花の花粉により行われます。自家受粉を防ぐために考えられた見事なプロセスです。
自家受粉のデメリット:遺伝的組合せの多様性が低下し、種の存続の危機につながる。

*葯(やく):雄しべの一部で、花粉をつくる器官。被子植物では花糸の先端に生じ、二個の花粉嚢(のう)からなる。
これらの植物はみんなの貴重な財産です。絶対に採取しないようお願いします。