脇川のアオモジ
アオモジは、クスノキ科の落葉小高木。以前はクロモジやシロモジと同属であったが、現在はハマビワ属に分類されている。樹高は5〜6mが普通で、中には10mを超えるものもある。3月頃、葉が出る前に雌株では数個、雄株では房状に淡黄色の花を付ける。葉は披針形で互生し、肉厚は薄い。木には独特の臭いがあり、ショウガノキの別名がある。材はクロモジ同様、爪楊枝として利用される。また果実にはレモンのような芳香があり、精油して洗剤の香料にも用いられる。中国では精油したものをメイチャンの名で販売していると聞く。雌株では9月に花芽と果実が同時につき、果実は10月に黒熟する。花芽は12月頃すでに立派な蕾となっている。花材の乏しい冬の時期に花卉として珍重され、各地で植栽された。
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雌株の花芽(12月) | 雌株の花 | 雄株の花 |
アオモジの種子には長期間にわたり発芽力があり、林が樹木伐採や撹乱で破壊されて日当たりが良くなり、かつ、地温が20度付近に上昇すると発芽するといわれている。撹乱地でアカメガシワやヌルデなどと共に最初に発芽してくる先駆植物であり、その成長はアカメガシワよりも早く、3〜5年で開花、結実する。脇川のアオモジも昔、園芸業者や寺などに花材として植栽されていたものが、鳥媒などにより種子が散布されて、埋土種子として蓄積され、林の伐採や開拓により一斉に発芽したものと推察する。また地球温暖化の影響も否定できない。
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